皆さんの中には、NHKのテレビで放映された大河ドラマ『新撰組』、『篤姫』、或いは『龍馬伝』、最近では『花燃ゆ』などといった江戸末期から安政、慶応、明治の時代を舞台とする歴史ドラマをご覧になられた方も多いと思う。斯くいう私も実は、歴史ドラマの大ファンがゆえに、例に違わず毎週の日曜日を楽しみに待つ一人である。

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さて、これらの劇中に描写される時代の背景であるが、今より遡ること僅か
170年ほど前のこと、すなわち二百有余年もの長きに亘って我が国を支配してきた徳川幕府による武家社会に別れを告げ、王政復古の大号令のもとに岩倉具視をはじめとする天皇の重臣であった当時の公家たちを擁し、薩摩藩と長州藩の連合軍が大政奉還を大義名分に倒幕と維新を目指して、遂に錦の御旗を掲げんと最後の戦いに挑む、元号でいえば慶応年から明治年へと移りゆく頃である。

何れの劇にも、我が国を想い、その行く末を憂う数多くの有能な先人たちが命を賭して戦った様子が鮮明に描かれている。その後の経緯は史実が私たちに伝えている通りであって、薩摩、長州の両藩を中心に、国の政権を担うこととなった明治の元勲たちは、富国強兵の旗印のもとに、こぞって西欧諸国へ赴き、政治をはじめ、法律、哲学、文学、教育、軍事、社会学、経済学、心理学、理学、物理学、鉱山学、薬学、医学など、ありとあらゆる分野の先進的知識や学問を学ぶことになる。

当時のドイツといえば、嘗てカール大帝
(Karl der Größe)が築き上げたゲルマン支配による神聖ローマ・ドイツ帝国(Das Heilige Römische Reich Deutscher Nation、いわゆるDas Erste Reich)の再来を願い、小国でありながらも次第に強国へと変貌を遂げつつあったプロイセンが数々のゲルマンの小国を統治し、遂には鉄血宰相で知られる政治家オットー・ビスマルク(Otto von Bismarck)を擁し、プロイセン国Preußen(Das Zweite Reich)を樹立、漸くしてドイツ統一(Vereinigung von Dertscher Nation)が果たされた頃である。


Karl der Große führte ein eindrucksvolles Leben. Das Gemälde (Ausschnitt) zeigt den Kaiser mit einem Modell des Aachener Doms
カール大帝

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/62/Bundesarchiv_Bild_183-R68588,_Otto_von_Bismarck.jpg
オットー・ビスマルク


その頃、北白川宮能久親王をはじめ、伊藤博文、西郷従道、品川弥二郎、青木周蔵、山脇 玄、平田東助、山県有朋、桂太郎、松方正義、西 周、森 有礼、加藤弘之などの蒼々たる明治新政府の賢人たちが描き出した国策の中で殊に重要視されたのは、軍事力の整備と増強、法制度と教育制度の確立であった。

当時、啓蒙専制君主であったフリードリィッヒ二世が率いるプロイセンの軍事制度と国政、そして徹底した教育の実情を目の当たりにした明治政府から派遣された留学生たちは、祖国日本の近代化へ向けて、正しくこのプロイセンの流儀を範となし、これらを取り入れるべく、改革にのりだしたのである。これを契機として、日独の両国間には揺るぎない絆ができあがったわけだが、その後、数々の激動の時を経た今もなお、我が国とドイツの間には友好関係が維持されていることは周知の通りである。


岩倉使節団



1875年頃のベルリンの日本人留学生

押し寄せる欧米の近代化の波に乗り遅れまいと、我が国は倒幕以降、その悉くを西欧、殊にドイツの土壌で育まれた学問や文化にこそ、その知識の源を求めたわけである。縁あってここドイツに暮らす私たちも、嘗て我が国の近代化のためにドイツに学んだ数々の先達たちを偲びつつ、時に彼らの成し遂げたことに想いを馳せてみるのも大切ではなかろうか。

僅か一世紀半の間に近代的な先進国とまで呼ばれるほどに発展を遂げた我が国ではあるが、悲しいかな、温故知新など何処吹く風、「熱しやすく冷め易い」などと揶揄されるが如く、諸外国からは真しやかに囁かれる有様である。過去に悲惨な戦争を体験し、そこから立ち上がった先人たちは、高度経済成長時代を築き上げもした。だが『追いつき、追い越せ』に奔走する余り、何処かに『心』を置き忘れてしまった嫌いがないでもない。

現在ある私たちの祖国日本の近代化を生み出す手立てとなった原点が、とどのつまりは祖国から遙か遠く離れた西欧の地、ここドイツであったことを真摯に受け止めて、今一度この事実を再認識する時が訪れているように思うのである。

(※人名は旧制の独逸学協会学校
(現 獨協学園) 100年史 編纂資料より出典)


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