https://www.flaggenfritze.de/pics/fanflagge-gelsenkirchen-3-glueck-auf-10281b.gif



つい先日、私と共にドイツ語学習に挑まれている方との学習で、いわゆるドイツ語のauf Wiedersehen!「さようなら!」のaufの説明を終えたところ、その方おもむろに、彼女がご贔屓のドイツ・サッカー連盟のリーグ(e. Bundesliga)でも指折りの強豪-(e. Mannschaft)として知られ、ルール工業地帯(s. Ruhrgebiet)の真っ直中にある炭鉱の街Gelsenkirchenを本拠地とするSchalke 04のクラブ・グッズを取りだして、ロゴが刻印されている箇所を指しながら「では先生、このGlück auf!aufと同じ使い方なのですね!?」と微笑んで私に質問されたのです。 何も疑うことなく、すかさず私は「サッカーチームのこと、頑張れとの励ましと期待の意味もあろうゆえ、いずれのauf[期待や願い]の意をあらわすものと考えて然るべきでしょう」などと軽々しくも、いい加減なことを口にしてしまいました。 その生徒さんには、この段をお借りしてお詫びいたします、お許しください。

ともあれこの私、恥ずかしいことに、Glück auf!なる呼び掛けをこれまで一度も耳にしたことがなかったのです。


ところでこのGlück auf!なる言い回しですが、辞書を捲ってみたところ、その意味は、勘に頼った私の回答にあながち誤りはなかったようでドイツ語の教育に携わる者としての面目は辛うじて保てはしたのですが、私としては寧ろ、その言葉の出所や由来、すなわち「生い立ち」を知ることの方が肝心だったわけです。


今回、何とも意外なことに、とあるドイツからの来訪者がふと口にした一言で、その疑問がまさしく一瞬のうちに雲散霧消の如く、解き明かされたのです。 実はその客人、長年、看護師(e. Krankenschwester)としてルール工業地帯の大手鉄鋼株式会社Krupp AG (e. Aktien Gesellschaft) グループの付属病院に勤務され、その後、私が勤めていた学校にも定年を迎えるまで在職されていた元同僚で、先頃、一時帰国のおりに我が家へ来訪、雑談のなかで、「柿原さん、当時、病院内では患者さんたちが日常の挨拶としてごく当たり前のようにGlück auf!という言い回しで、互いに挨拶を交わしていたわよ」と宣うたではありませんか。


斯く斯く然々、こうして謎が解き放たれたわけです。 お分かりでしょうか、皆さん! 第二次世界大戦が終結して間もなく、1950年から60年代にかけてのルール工業地帯といえば、ドイツの戦後復興を牽引する担い手となった製鉄などの重工業の中心的地域、その要といえば石炭や鉄鉱石などの採掘だったわけです。地下奥深く暗い鉱山に潜り込み、黒いダイヤとも呼ばれた石炭やさまざまな鉱石を掘り起こす過酷な作業に従事していた炭鉱夫(r. Bergmann)の皆さん、そうなのです、毎日、作業のために地中の奥深くへと赴く時に、また、仕事を終えてその無事な姿をふたたび地上にあらわす度に、お互いが何気なく交わす挨拶、それがまさしくこのGlück auf!なる言い回しだったのです。


つまり、Glück auf!に綴られる前置詞と思しきaufとは、必ずしも無事であることを祈る[期待と願い]だけに留まることなく、地上への生還を促す激励[(上方への)方向][(叱咤激励など)鼓舞と呼びかけ]の意も含んでいるものと捉えるべきなのでしょう。ともあれ、「無事にまた地上に顔を出してくれよ、生きて上がって来いよ」との願いと、炭鉱で働く人々のお互いを思いやる気持ちが込められたGlück auf!なのです。 今現在、リーグ戦でSchalke 04がいかなる順位にあるのか知る由もありませんが、このGlück auf!なるロゴが果たしてチームにとって何を意味するものか。 恐らく、嘗て栄えた炭鉱の街に住むゲルゼンキルヒェン市民(die Gelsenkirchner)や多くのサポーターに支えられているチームとしての誉れ、そのチームの選手たちに勇気と力を与え、彼らに誇りを抱かせ、奮い立たせるに充分たる応援歌にも等しい「雄叫び」といってもよいのではないでしょうか。


続きます。




ドイツ語ならネアグロッサで!スカイプを通して懇切丁寧な授業をご提供します。

http://www.neaglossa.com/
私のブログへご訪問いただき誠にありがとうございます。
Vielen Dank!
ブログ更新の励みになりますため、クリックしていただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ
にほんブログ村