(„Glück auf!“なる言い回し、お聞きになったことがありますか? ①の続きです)

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Glück auf
シャルケのスタジアムの中。
まさに「炭鉱」をイメージしている。
(生徒さんご提供の写真)


定かではないものの、Glück auf!の語源についても多少、私見を含めた分析を試みておきましょう。 そもそもs. Glückaufなる一語が(鉱山へ入坑する抗夫たちへ向けて)無事を祈る挨拶(r. Bergmannsgruß)」の意を有した名詞であって、さらに同じように、「(飛行機などが離陸する際に搭乗員へ向けて)無事に飛び立つよう祈る挨拶(r. Fliegergruß)」の意をもつs. Glückabなる名詞もあるようだが、これらの名詞が文章として用いられると、Ich wünsche Ihnen ein herzliches Glückauf / Glückab!「あなたの無事を心より祈っております」といった転義・比喩的意味をもった表現をつくりだすことになります。


これに対して、懸案のGlück auf!なる言い回しですが、s. Glückなる名詞と、前置詞と思しきaufそれぞれまったく別の語彙として用いられていることから、その語源は恐らくや、例えばここではauf/tauchen「姿をあらわす」といった分離動詞が用いられたものと考えてもあながち間違いではないと思います。 すなわち、Tauch´ doch zum Glück auf!“ 「お願いだから、(暗い坑内から)無事に上がって来て、姿を見せてくれよ!」といった願望を込めた呼び掛けを意図する命令法(接続法第一式現在形)と考えるべきでしょう。 つまり、ここで用いられるaufは前置詞でも後置詞でもなく、分離動詞の前綴りとしての役割を担う副詞であり、尚且つ、定動詞要素後置の原則にしたがって、前綴りが文末に配されたものと考えるのが妥当ではないでしょうか。 これを敢えて上例のような文章であらわすのではなく、Tauch´ doch zum Glück auf!のように簡潔な挨拶の手法で表現したものがまさしく、Glück auf!であろうと考えます。


ともあれ今回、生徒さんの一言が、まさに私をしてあらためてドイツ語の世界の奥深さへ目を向けるべく覚醒を促してくれたわけですが、斯様に脳裏を過ぎるさまざまな疑問があった場合には、まずはそれを解き明かそうと意識することが如何に大切であるかということ、また、一つ一つの言葉や表現が有している深淵を垣間見ることの楽しさをあらためて知り得たように感じます。 皆さんも、ドイツ語のさまざまな表現や言い回しに関心を抱かれ、若しお分かりにならないことがあれば、遠慮せずに先生方に質問されては如何でしょう。 さすれば、誰もが「目から鱗が落ちたようだ」(Mir ist es wie Schuppen von den Augen gefallen!)と口にするのは、間違いないでしょう。




() 名詞の前に付した -r,- e, -s及びdieは、できるだけ皆さんが名詞の文法性に馴染まれることを願って、

敢えて定冠詞der(男性), die(女性), das(中性), die(複数形)を略してつけたものです。




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